第27回活動レポート

2026/09/10

開催内容

テーマ

STS(Sustainable Transformation Standard)を用いた自社活動の再評価と自己診断の試行

概要

今回の会合は、新テーマ「評価の評価(STS構想)」を具体化する全3回のパッケージプログラムの第2回目として位置づけられます。

タイムスケジュール

17:00~17:05 オープニング & 参画メンバー紹介
17:05~17:15 前回(第26回)のふりかえり・本日の趣旨説明
17:15~17:40 [インプット] 「評価の評価」解説動画 & STS 2.0構想
17:40~18:15 [議論] 自社活動の本質的な価値と変革能力の整理
18:15~18:45 [議論] STS 2.0 自己診断の検証(カテゴリーA)
18:45~18:55 [共有] 各班の議論結果の発表 & 総評
18:55~19:00 次回案内 & クロージング

議論内容

1. 「STS 2.0」構想のインプット
アドバイザーより、企業の変革能力を測る新基準「STS 2.0」の設計思想について、動画による解説を交えたインプットが行われました。主要な論点は3点です。
1点目は、評価の主眼を過去の削減実績などの断面的な情報から、変革のプロセスとスピードへ移すという考え方です。バックキャスティングの発想に基づき、環境が変化するなかで自らを更新し続ける能力を評価の中心に据えます。
2点目は、二階建ての評価モデルです。既存のESG評価を現状のリスク管理を担保する土台として位置づけたうえで、その上に未来の社会を動かす変革能力を上乗せして評価します。
3点目は、全社共通で測定する基本指標群(Core 25)と、自社のマテリアリティに応じて選択するテーマ別モジュール(気候変動、資源循環、技術貢献等)の組み合わせです。これにより、企業間の比較可能性と各社固有の戦略の尊重を両立させます。

2. 自社活動の再評価に関する議論

グループ討議では、各社が重要と位置づけている活動を、「誰のための活動か」「変革能力に繋がっているか」という2つの視点で棚卸ししました。
「誰のための活動か」については、自社の事業との整合、企業イメージの向上と採用競争力、投資家からの評価といった観点が挙げられました。一方で「変革能力に繋がっているか」という視点では、社会的価値の高い取り組みが担当部署の中で完結し、他の事業活動とのシナジーを生むまでに至っていないこと、目標値は掲げているものの施策が従来の延長線上にとどまっていることなど、率直な現状認識が相互に共有されました。
議論のなかでは、小幅な改善ではなく大幅な目標を掲げることで初めて発想の転換が起こるという指摘や、推進チームを経営トップの直轄に置くことで、担当役員の交代にかかわらず取り組みを継続させた事例が紹介されました。また海外のグローバル企業の事例として、サステナビリティ専任の経営ボードメンバーを置き、経営戦略とKPI・推進体制を一体で設計している構造や、役員報酬の一部をサステナビリティ目標に連動させる仕組みが共有され、外部から評価されるための対応と、事業に組み込まれた戦略との差について認識を深めました。

3. STS 2.0を用いた自己診断の試行
続いて、評価項目(カテゴリーA)を用いた5段階の自己診断を試行しました。同じ企業の参加者間でも評点が分かれる結果となり、そこから実用化に向けた論点が抽出されました。
1点目は、採点基準の粒度です。各点数の到達状態が具体的に記述されていなければ、評価が担当者の感覚や立場に依存してブレるため、基準の明文化が実用化の前提であるとの意見が挙がりました。
2点目は、診断の実施体制です。本格的に運用する場合は、経営企画、人事・総務、事業開発、製品部門など複数部署への横断的なヒアリングが必要であり、取りまとめの主体は経営企画部門、最終的な当事者は経営トップであるという整理がなされました。あわせて、必要な体制は企業規模によって大きく異なるという指摘もありました。
3点目は、この診断の活用方法です。他社との比較のためではなく、自社の現在地を把握し、次の段階に上がるための道具として用いるべきであるという方向性が共有されました。社内の力量評価表を、序列づけではなく人材育成の起点として運用している事例が紹介され、スコアを社内での対話の共通言語として機能させるという捉え方に議論が収束しました。

総括と次回開催

変革を阻む壁を突破する4つの視点
アドバイザーからの総評では、試行錯誤を通じてしか答えの出ない「適応課題」に対して、既存の「技術的問題」の物差しを当てはめることが組織の学習能力を損なうという指摘がなされました。また、変革の初期段階においては、既存のロジックに縛られない人材を許容する組織文化が不可欠である点にも言及がありました。
そのうえで、変革を阻む壁を突破する視点として「4つの統合」が提示されました。サステナビリティの価値を稼ぐ力に接続する「財務と非財務の統合」、方針を現場のKPIに落とし込む「コーポレートと現場の統合」、実質的な責任を伴わせる「方針と報酬の統合」、製造負荷と社会貢献価値を一体で語る「製品とプロセスの統合」の4点です。
次回・第28回は本パッケージプログラムの最終回として、各社の自己診断結果を共有し、日本企業がグローバルなルールメイキングに一石を投じるための新たな物差しの確立を目指します。